本日、沖縄を代表する版画家である名嘉睦稔さんをお招きし、4年生を対象に版画の特別授業を行っていただきました。
名嘉睦稔さんとアミークスとのご縁は、実は何十年も前にさかのぼります。現在、アミークスで版画の指導をしているボルトン先生が、まだ中学生だったころ、名嘉睦稔さんの版画展を訪れたことが始まりでした。その時に受けた強い感動が、ボルトン先生の心に深く残り、「いつか教員になったら、子どもたちと一緒に版画を作りたい」という夢につながったそうです。
そして、その夢はアミークスで実現しました。ボルトン先生は12年前から、名嘉睦稔さんのご指導を受けながら、アミークスの子どもたちと版画制作に取り組み続けています。今日の特別授業は、長い年月をかけてつながってきたご縁が、子どもたちの学びとして花開いた大変貴重な時間でした。
私も名嘉睦稔さんのお話を聞かせていただきました。途中でメモを取るノートを忘れてきたことに気づき、校長室へ取りに戻ろうかと思いました。しかし、「この一瞬も聞き逃してはいけない」と感じ、最後までその場を離れることができませんでした。それほど、名嘉さんのお話には人を引き込む力がありました。
授業の中では、子どもたちとの質疑応答の時間もありました。
「なぜ版画を始めたのですか」という質問に対して、名嘉さんは「面白くてしょうがないから」と答えてくださいました。その言葉からは、ものづくりに向かう純粋な喜びや、表現することへの深い情熱が伝わってきました。
また、「失敗することはありますか」という質問には、「失敗だと思っていたことが、できあがってみると、実は失敗ではなかったということもある」とお話しくださいました。子どもたちにとって、これはとても大切なメッセージだったと思います。失敗を恐れずに挑戦すること、思い通りにいかないことの中にも新しい発見があることを、名嘉さんはご自身の言葉で優しく伝えてくださいました。
今回、子どもたちが制作している版画は、一人ひとりが作った縦約30センチ、横約20センチほどの小さな作品が、約60枚組み合わさって一つの大きな作品になるものです。一枚一枚を作っている時には想像できなかったような、迫力ある大きな版画へと変わっていきます。
名嘉さんは、その面白さと素晴らしさを子どもたちに伝えながら、一人ひとりの作品を温かく褒めてくださいました。子どもたちも、自分の作品が大きな作品の一部となることに、驚きと喜びを感じていたようです。
子どもたちから次々と出される質問にも、名嘉さんは終始にこやかな表情で、丁寧に答えてくださいました。そのお姿からは、作品の力だけでなく、名嘉さんご自身の温かいお人柄が強く感じられました。
今年度の本校の重点目標の一つに「情操の涵養」があります。美しいものに心を動かすこと、表現する喜びを感じること、人の思いや生き方にふれることは、子どもたちの心を豊かに育てていきます。
第一線で活躍されている名嘉睦稔さんの作品とお話にふれることを通して、子どもたちの心には、きっと大切な何かが残ったことと思います。
本日の特別授業は、単なる版画制作の時間ではありませんでした。夢が人から人へと受け継がれ、子どもたちの学びとなり、そして一人ひとりの小さな作品が大きな一つの作品へとつながっていく、まさにアミークスらしい温かな学びの時間となりました。
名嘉睦稔さん、そしてこの素晴らしい学びを長年大切に育ててくださっているボルトン先生に、心より感謝申し上げます。
学園長 大城 賢
