校長室から 2026 / 06 / 29

「ゲート・サイド・ストーリー」に込められた願い

 

先週土曜日、アミークス中学校のパフォーマンスデイを開催しました。台風の影響により、開演時間を午前から午後へ変更することとなりましたが、急な日程変更にもかかわらず、多くの保護者の皆さまにご来場いただきました。心より感謝申し上げます。

 

私自身、今回のミュージカル「ゲート・サイド・ストーリー」には、特別な思いをもっていました。

 

大学時代、英文学の授業で学んだシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』。敵対する二つの家に生まれた若者が、周囲の反対を越えて愛し合いますが、最後には二人とも命を失う、悲しい物語です。

 

この物語は、1950年代のニューヨークを舞台とする『ウエスト・サイド・ストーリー』へと受け継がれました。対立する二つの若者のグループを背景に、異なる側に属する男女が出会い、愛し合います。しかし、ここでも一人が命を落とす、悲劇的な結末を迎えます。

 

そして、アミークスの「ゲート・サイド・ストーリー」では、物語の舞台が1970年代のコザへと移ります。アメリカ軍基地と沖縄の人々との間にある複雑な関係を背景に、アメリカ兵のトニーと沖縄の女性マリが出会い、恋に落ちます。

 

二人は、どのような結末を迎えるのだろうか。私は脚本の段階から、強い関心をもって物語を見守ってきました。「今度こそ、ハッピーエンドになってもよいのではないか」と何度も思いました。しかし、二人の運命は、再び引き裂かれることになります。トニーの消息が分からないまま物語は幕を閉じ、マリは彼の帰りを待ち続けます。それは、当時の沖縄で実際に多く見られた光景の一つでもありました。

 

世界に目を向けると、今もなお戦争や争いが続いています。そのような現実の中で、簡単にハッピーエンドを描くことはできないという思いが、脚本をつくった先生方や生徒の中にはあったのかもしれません。

 

また、この結末には、純粋な愛さえも実らせることのできない社会をつくってしまった大人たちへの問いかけが込められているようにも感じました。人はなぜ、国籍や立場の違いによって分けられ、憎しみ合わなければならないのでしょうか。この舞台は、私たち大人にも静かに問いかけているように私には感じられました。

 

生徒たちは、このプロジェクトを通して、沖縄の歴史だけでなく、仲間と力を合わせること、自分の役割に責任をもつこと、異なる考えや立場を理解しようとすることなど、多くの大切なことを学んでくれたと思います。

 

舞台に立った生徒はもちろん、音楽、大道具、小道具、衣装、照明、音響など、それぞれの場所で力を尽くした生徒たちの頑張りが、一つの大きな作品をつくり上げました。一人ひとりの力は小さく見えても、それらが重なり合うことで、観る人の心を動かす舞台となりました。

 

そして、その生徒たちを長い時間をかけて指導し、励まし、支えてくださった先生方にも、心より感謝しています。台風による急な日程変更への対応を含め、舞台の裏側には、先生方の並々ならぬ努力と情熱がありました。生徒たちを信じ、最後まで寄り添ってくださった先生方の存在なくして、この公演を実現することはできませんでした。

 

保護者の皆さまには、クラウドファンディングを通して多大なご支援をいただきました。また、日々の練習を見守り、生徒たちを励ましながら、その活動を縁の下から力強く支えてくださいました。本当にありがとうございました。

 

「ゲート・サイド・ストーリー」は、3年後に再び上演される予定です。その時、世界が今より少しでも平和になり、次のマリとトニーが、今度こそ幸せな結末を迎えられることを願っています。

 

その希望を、生徒たち、先生方、そして保護者の皆さまと共に大切にしていきたいと思います。

 

学園長 大城賢

 

 

 

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